震災から得た考え方|3.11あとの接客しごと|デマなどの情報、そしてかっこいいマスターから学んだこと
6日未明に起きた地震のあと、7日には電気も復旧して
9日、今日は 一見いつも通りのような朝です。
2011年の大地震を機に 神奈川県横浜市から北海道へ移住してきた私にとって
あの3.11は人生を変えるほどの出来事でした。
あのときの体験から、自分なりに得た教訓は
「頭の中はいつもどおりに」でした。
ちょっと当時をふりかえっていきたいと思います。
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【震災あとの接客お仕事】
2011年、震災があった当時 私は小売販売のお店に勤めていました。
地震直後から防災関係の商品をはじめ ふだんは売れない商品も、飛ぶように売れました。
どのお客さまも必死だったので 普段受けないようなクレームも多く 店側も対応に追われていました。
私が受けるはずのクレームを、可愛らしい大学生のアルバイトの女の子が受けてしまい・・・いたたまれない気持ちになったこともありました。
私は店側でしたので、たくさん謝りながら仕事を続けていました。
お客さま側による勘違いからのクレームもあり
理不尽だなあ・・と今は思いますが、接客モードになっている間は本気で謝っていました。
普段は店に立ち寄らないお客さまも多くみえて 特定の商品を大量に買い占めていくケースも多く
それらの商品は、どこかで転売されるのだろうなあ・・と思いました。
けっこう精神的に弱りやすい状況でした。
震源地ではない関東の街でさえ こんな調子だったのです。
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【デマなどの情報に弱る】
その時、こういう非日常の事態でその中にどっぷり入ってしまうと
普段の判断力がなくなる。
それが一番こわいな、と感じました。
事実、様々なデマがSNSで出回ったり、根も葉もない情報で人々が右往左往することが頻繁に見受けられました。
私自身、精神的に弱くなっていたので そういった内容に流されそうになりました。
いつもなら絶対に目に留まらない物事が、とても気になったりもしました。
そういう、非常事態の集団心理のあぶなさ・自分の判断能力の低下を身を以て実感できたことが収穫でした。
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【かっこよかったバーのマスター】
3.11のあとに色々あって、私は北海道への移住を決意しました。
『いつか函館に住む』ことが小学校時代からの夢でしたので、こういう天変地異を逆手にとって(?)
新生活に踏み切ろうと決意したのでした。
そういうことを色々考えながら、必死に計画を立てていた ある夜
当時渋谷にあった好きなバーに行って、ひとり手帳を開きながら日程を確認していました。
そのバーのマスターは、3.11直後、日本中が大混乱だった状況でも
ひとり静かにお店を開けていたそうです。
どんな状況でも いつも通りにお店を開けることが、そのマスターの「ありかた」であり、
お店を愛するお客さんへの愛情なのだなあ・・と感じました。
私がお店に行ったときも、お店に来ているお客は、私ひとりでした。
ちょっと甘みがあって、温かいものをとお願いすると、ホットワインにシナモンを添えて出してくれました。
私は移住のこともお別れも、何も言えませんでしたが その夜、そのお店で安心しながら決意を固めることが出来たのでした。
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このような3.11あとの体験を通じて、私は 「頭の中はいつもどおりに」いることを意識するようになりました。
あのバーのマスターのようにはいかないけれど、できるだけ 姿勢に習っていきたいと思っています。
今回の地震のあと、まずは自分のテンションを保つことにつとめています。
手持ちの食糧があるうちは、大量買いはしない。
数日たてば 今不足している物資も店頭に並びます。
それが出来る状況なので、今は そんなふうに過ごしているのでした。