「音の可視化」の感想

「共感覚」というものを意識し出したのは画学生だった21歳の頃だった。
「共感覚」とは
手で触れた感触から音を感じる、
音を聴くと色を感じる、など
ひとつの感覚刺激から複数の感覚が呼び起こされる現象で
一見珍しいように聞こえるけれど
「共感覚」を持つ人は意外に多い印象だ。
私は色を見るときに、一種の「共感覚」をおぼえる。
音楽を聴くときもまた聴覚以外のものを感じている。
そして本来「共感覚」を持っていない人が
「共感覚」を体験することもあると思う。
しかし、こういった五感の相互作用ともいうべき
めずらしい体験をうながす場所が
意図的に作られることは滅多にない。
GLAYという函館出身のロックバンドで
ボーカルをつとめるTERU氏の、初となる作品展。
その会場が、まさに「共感覚」を呼び起こす場所として
作られたのかと驚くタイトルだった。
「音の可視化」
絵画展でありながら、絵画作品のみならず
空間すべてで聴覚から視覚、視覚から聴覚、
そしてそれらを超えた感性にまでにうったえるという
なんとも言語化では追いつかない作品展だった。
この作品展は、GLAYファンそしてTERU氏のファンにとってはもちろん至福の空間であるし
そうでない美術愛好家や函館愛好家、それ以外の人々にとっても楽しみのある空間だと感じた。
この作品空間が五感のどれを呼び起こすのか、それは見る人次第でもあるし
作品次第である、ともいえるかもしれない。
私は、天井に飾られたタイトル未確認の作品2点がとても気になった。
私には、この2枚の絵から祈りの唱和が聴こえた。