ジェーン・バーキンの歌声と魔法~奇跡の名盤「アラベスク Arabesque」

先日胸をふさがれるような出来事があり、その数日後に大好きなジェーン・バーキンの旅立ちを知った。

 

ジェーン・バーキンのことを嫌いな日本人っているのだろうか。

私はサブカルチャーの面で、ジェーン・バーキンはまさに「親鳥」のような存在だったので無条件に(刷り込みされたように)大好きだし、なんなら崇拝してしまう。

ジェーンが何をやっても大好きで、その上ジェーンはファンの憧れを上回ることばかりしてくれた。

最大の賛辞として、とんでもない女性だった。

 


 

ジェーンのアルバム「アラベスク」を聴いたことがあるだろうか。

このアルバムが出たのは2002年。

北アフリカのミュージシャン等を起用してジプシー風にアレンジされたセルジュ・ゲーンズブールの楽曲コンサートのライブ盤だ。

 

中東・北アフリカ地域のアラブ諸国に伝わる楽器や現地のミュージシャンたちを起用して、シャンソン出身フレンチ・ポップの創始者セルジュ・ゲーンズブールの楽曲を演奏する。

それを、ジェーン・バーキン本人がライブで歌う。

起用の理由にアラブ諸国の文化へのリスペクトがあったことは、当時の厳しい世界情勢からも伝わってきた。

 

 

コンセプトを知り音を聴く前から鳥肌が立った。もちろん発売前に予約をした。

当時私は美大の2年生で、セルジュ・ゲーンズブールのベストアルバム二枚組は繰り返し聴いていたし、学校のイメージライブラリーでジェーン・バーキン主演の映画を探しては視聴していた。関連書籍も探しては読んでいた。

こんなアルバムかな?こんなアレンジかな?と思いを巡らせて、たぶん事前に色んな「驚かないための準備」をしていた気がするのだけれど、

アルバム発売日に立川駅ビル内のCDショップでアルバム「アラベスク」を購入して、

待ちきれずにソニーのCDウォークマンで聴いたときの衝撃は忘れられない。

だって、一曲目がセルジュの声よりもこわい、こんな凄い音で奏でられた「エリサ」だったのだから。

 

 

彼女の元夫・セルジュ・ゲーンズブールが亡くなったあと、日本のミュージシャンたちが作ったトリビュートアルバムが立て続けに出た。私も購入して聴いたけれど(そして今でも大事にしているのだけれど)、どうしても歌声がセルジュのメロディに溶けていかなかった。

セルジュの楽曲は、ジェーン・バーキンのあの歌声でしか

いくつかのピースが埋まらない仕掛けが施されているのではないか。(もしくはバンブーか、バルドーか、シャルロットの声でしか)。

 

そんなにまで絞り込まれた、研ぎ澄まされたジェーン・バーキンの歌の世界を

ジェーン・バーキンはガンガンと壊し続けて生み出し続けてきた。

その音楽性は一見たおやかでオシャレで気まぐれのように見えるのだけれど、

ものすごく筋が通っていて、正義感と焦燥感にあふれて ヒヤヒヤするほどの戦いが潜んでいたのだ。

 


 

私はジェーン・バーキンの歌声がずっと好きだったし、これからも好きなままだと思う。

 

ジェーン・バーキンは生前、天使の役で映画に出ていたので

今頃はその役柄とおなじように頭に花輪を載せて、白い雲に寝そべりながらうっとり頬づえをついているはずだ。

そしてたぶん、その内でまたとんでもないことを考えて

いきなりファンを驚かせたりするはずだ。

 

貴女がたくさん驚かせてくれたことを、ファンの1人としてずっと忘れたくない。

とくにあのアルバム「アラベスク」には、本当にびっくりしました。

 

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