「山口小夜子 未来を着る人」東京都現代美術館 (2015年5月)

2015年5月末、行ってきました。
(会場内で撮影が許可されているブースがいくつかありましたので、この記事内ではそちらで撮影した写真を掲載しています)
山口小夜子さんを初めて知ったのはいつだったのか、思い出せません。
友達のお母様がモデルをしていた時期に 山口小夜子さんと同期だったそうで、そのお話しを聞いていたり、
ふらっと立ち寄った書店で山口小夜子さんの著書を手に入れたり、
好きな作家の作品に登場していたり・・・
気付いたときには、あらゆるところで山口小夜子さんの存在を感じてきました。
「山口小夜子」という存在がなければ、確実に知らないままだった世界がいくつもあります。
展示会場では 山口小夜子さんの映像、朗読、絵画、そして自室アトリエにあったという資料やスクラップブック・・・・
膨大な数の私物や資料とともに、彼女が携わった作品が展示されていました。
でも、だからといって山口小夜子という存在が明らかになったのかといえば
そういうことでもなく。
こんなにも多くの作品や資料や所蔵品が開示されているのに、彼女の存在はあいかわらず透明なまま、いっそう遠くに感じられました。
山口小夜子というミューズの出現により、日本のファッション・アート・音楽・写真・映像・演劇・・・さまざまな分野が活性化しました。
1971年のプロモデルデビューから、2007年にお亡くなりになるまでのあいだ
彼女からどれほどの作品が生まれて、
また どれほどのクリエイターが彼女から霊感(インスピレーション)を受けてきたのか
その一端を見ることのできる展示会場でした。
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モンパルナスのキキ、
夢二のお葉、
イーディー・セジウィッグ・・・
その時代、その文化の中で生まれた絶対的なミューズの存在は、
彼女たちがこの世を去っても
作品から、また記憶の底から、何度でも甦って 人々の前に姿を現します。
たった一人のミューズが存在することで、そのミューズの影響をうけた何千何万という作品が生まれ、またその作品が何千何万というクリエイターを育てるのです。
山口小夜子さんという個人の その向こうに広がる豊かな世界。
途方もない世界を思いました。