文士の逸品|革小物の魅力を知った書籍|動画あり
いつの間にか集めてしまうものってありませんか?
私の場合は、「紙類」と「革小物」がまさにそれです。
特に、古い紙と使い込まれた革小物に目がありません。
紙は、手書きや印刷によって情報がダイレクトに記録される媒体です。
紙そのものが古くなると記された内容も同時進行でエイジングを重ねていきます。
私は、紙類のそこを愛してやみません。
古本やアンティークの絵葉書などをついつい集めてしまいます。
革小物に関しては
ひとつのものをずうっと愛用していくことに憧れがあります。
使い込まれてクタクタになった革小物を見る時間は至福のひとときです。
革製品が好きになったキッカケのひとつは、この書籍との出会いでした。
矢島 裕紀彦 (著)
月刊「文藝春秋」連載「文士の逸品」の単行本化。
森鴎外の双六盤、井上靖の靴等、百十六人の文士たちの愛用品を写真とエピソードで紹介
この本に出てくるのは、さまざまな作家が愛用していた品物の写真とそのエピソードです。
立原道造の設計器具とか、
池波正太郎の水彩画パレットとか、
岡本かの子のペンダントとか。
その中で、「めっちゃくちゃにかっこいい・・・」と思ったのが、
南方熊楠の手提げ鞄 でした。
この書籍に出会った当時は学生だったのですが、
南方熊楠の手提げ鞄の古びた革の美しさに魅せられて
そのあとすぐに西荻窪の骨董屋をめぐり、
大正~昭和初期に船舶で利用されていた革のトランクを購入しました(あまりに熱心に見ていたので、店主さんが5分の1くらいの価格で譲ってくださいました)。
以降ひとつの革製品を「長く愛用して味わいをだしていくこと」を実践したくて
少しずつ革小物を集めるようになりました。
現在11年前にオーダーして作ってもらった革のバッグなどいくつかの革製品を愛用しています。
ここ10年ほどはシステム手帳が好きですが、システム手帳は革と紙がドッキングしていて、
私にとってはまさに夢のようなアイテムです。
憧れのもの、憧れの人との出会いって、いつどこで起こるかわかりません。
私の場合はこの書籍に掲載された南方熊楠の革鞄への憧れから、
その後の趣味嗜好・生活までが方向づけられたといっても過言ではありません。
使い切れない紙類や革小物を抱えることになってしまい、経済的によかったのかわるかったのか分かりませんが・・・
夢中になれる趣味がひとつ持てたというのは、
人生的にはとてもよかったと思います。