HAKODATE ART EXHIBITION 2025 鑑賞の記録~2023GLAY TERU 初個展から現在までの展示メモ

函館出身のロックバンド「GLAY」 のボーカル・TERU氏の初個展があうん堂で開催されたのは2023年6月。
それからわずか2年弱の間に個展・グループ展に加え、空港やホテル、企業などとのタイアップ展示や作品設置、書籍の表紙アートワーク、(個展前の)アルバムジャケットアートワーク、海外での作品展示、などなど…
TERU氏関連のアート情報は追いかけきれないほどの熱量とスピードで更新され続け、目が離せない状況だ。
GLAYのファンだからという理由だけではない。私は函館で絵画作品を制作し、また美術講師として生活している身なので、近年のこうした動きを、単純に興味関心をもって追いかけている。
どんな作品が見られるのだろう?どんなことが起こるのだろう?これからどんなふうに展開していくのか。
シンプルに、TERU氏関連のアート情報は面白いし、現在までにも予想外の出来事がたくさん起こっている。今後の展開にもワクワクしてしまう。
これまでにいくつか芸能関係者のアート作品展やアートシーンデビューを見る機会があった。ほとんどの場合、作品制作の前に商業的なアートプロデューサーやイベンターがついた痕跡があった。それが良いとか悪いとかいうのではないけれど、「作品ありきではない作品展」というのは美術愛好者からするとやはりちょっと寂しかった。
ところがTERU氏関連のアート展は違った。本人が自身の作品のために汗を流し、作り上げてきた痕跡が随所に。
また、ともにアート展を作り上げている作家たちも誰一人同じ色に染まることなく、存在として「立っている」。
心境的にも環境的にも、風通しのいい展示ばかり。
勝手に学ぶことが沢山あるのだ。
私は初個展以降、函館市内のTERU氏関連の「作品展」には足を運んでいるけれど感想をまとめきれていなかった。
ここに備忘録のような形で感想をまとめておきたい。
注意:(このブログ記事は批評などではなく、あくまで個人の感想です)。
2025年5人展『HAKODATE ART EXHIBITION 2025 DREAMY』感想
・TERU氏
画面そのものが多重構造で不思議な奥行きを感じた。
テクスチャのにじみから浮かび上がる手書き文字は、函館の深海からのメッセージのようで、ヒトだけでなく自然とも呼応してゆくような偶然性の繰り返しを楽しむ画面構成だった。また、ロックのバックグラウンドでもあるストリートの感覚を取り入れた表現もあり、自然と街の融合を感じさせる作品が多かった。
・長谷川匠氏
作品は静止していながらもすべてにダイナミックなムーブメントがある。キャンバスの上で生命体がうごめいているようにも見えた。壁面びっしりの表現も、昨年に続き空間全体を揺さぶりをかけるようで面白かった。相当の腕力がないと為せないような、文字通りの「力仕事」が画面にきざまれており個人の作品としてピュアだと感じた。
・藤倉朱里氏
SNS等で見るよりずっと大きく鮮烈で、やっぱり原画で見るのが大切だと再確認した。インタビューで藤倉氏は感情について言及されていたが、感情を制作中に持続し続けるために、ものすごく冷静に自己と向き合っているのだと思う…制作後にまた、そのファーストインプレッションの感情に戻ってこられるのが凄いなと感じた。
・kumi氏
作品をまとめて拝見できたのがとても嬉しかった。
優しい色合いやタッチが目を引くが、この温かな世界観を20年にわたり守り続け、描き続けているkumi氏の強さ、作品世界への視線を、改めて感じながら鑑賞した。
鮮やかなパステルカラーやビタミンカラーだけでなく、一見渋めの茶色をメインに使用したイラストも好きだった。
・大石裕介氏
壁面に遊び心あふれる作品がずらりと並び、壮観だった。シンプルに格好よい展示だった。函館の1角にこんなビジュアルを集めたスポットがあればなあと感じる。繰り返し見たい世界観で、洗練されたストリートの匂いを感じた。
(鑑賞した流れのまま順不同の感想メモになります)
スタッフの皆様にも、優しくお声がけ頂きました。ありがとうございました。
2023年 GLAY TERU初の作品展『音の可視化』感想
(2023年のブログから再掲)
「共感覚」というものを意識し出したのは画学生だった21歳の頃だった。
「共感覚」とは
手で触れた感触から音を感じる、
音を聴くと色を感じる、など
ひとつの感覚刺激から複数の感覚が呼び起こされる現象で
一見珍しいように聞こえるけれど
「共感覚」を持つ人は意外に多い印象だ。
私は色を見るときに、一種の「共感覚」をおぼえる。
音楽を聴くときもまた聴覚以外のものを感じている。
そして本来「共感覚」を持っていない人が
「共感覚」を体験することもあると思う。
しかし、こういった五感の相互作用ともいうべき
めずらしい体験をうながす場所が
意図的に作られることは滅多にない。
GLAYという函館出身のロックバンドで
ボーカルをつとめるTERU氏の、初となる作品展。
その会場が、まさに「共感覚」を呼び起こす場所として
作られたのかと驚くタイトルだった。
「音の可視化」
絵画展でありながら、絵画作品のみならず
空間すべてで聴覚から視覚、視覚から聴覚、
そしてそれらを超えた感性にまでにうったえるという
なんとも言語化では追いつかない作品展だった。
この作品展は、GLAYファンそしてTERU氏のファンにとってはもちろん至福の空間であるし
そうでない美術愛好家や函館愛好家、それ以外の人々にとっても楽しみのある空間だと感じた。
この作品空間が五感のどれを呼び起こすのか、それは見る人次第でもあるし
作品次第である、ともいえるかもしれない。
私は、天井に飾られたタイトル未確認の作品2点がとても気になった。
私には、この2枚の絵から祈りの唱和が聴こえた。
2023年 3人展『THREE COLORS EXHIBITION 2023』
鑑賞後に無性に嬉しかった。この展示から「新しい青春」がスタートしたことを実感できたからだと思う。
同じ感想を抱いた鑑賞者も多かったのではないか。
また、通常のアート展示では出来ないことが盛りだくさんの会場だった。
展示BGMのために新曲が作られ、TERU氏がラップで参加。
コーヒー等のお土産、オールカラーのブック型パンフレット、大人数収容のトークショー・・。展示だけではなくイベントとしても豪華で、驚きっぱなしの会場だった。
2023年 GLAY TERU 二回目の作品展『万里一空』
ストレートなコンセプトと安定感のある作品構成で、ゆっくり静かに鑑賞できる作品展だった。
落ち着いて連作の差異を味わいながら楽しむことができた。
(また感想は随時書き足していきます。)
今後も、可能なかぎり鑑賞を続けていきたいです。