ふつうの日記~過去の漫画原稿の整理|数をこなすことでしか見えてこないもの
フトしたご縁があったので、過去に描いた漫画原稿を整理していた。
私が漫画家業をしていた25歳~30歳くらいまでの短い期間に、発表できた作品の本数は20本未満だと思う(細かい仕事もあったので、よく覚えていないけど)。
でも、実際に描いた本数は没原稿含めると5倍くらいはある。
また一本の短編を仕上げるまでに書くプロット・シナリオ・ネームの枚数は
300ページ以上だったりした。
ノートはすぐに使い切ってしまうので、100均で売っているわら半紙100枚パックをいくつも買いだめしておいて 出先でもどこでも 裏表を使って書いていた。
文章を書くのはヘタだと自分でも思うけど
5年間ほど、枚数というか文字数を書き続ける生活を送っていた。
漫画は、まず文字を書かないと何も始まらないから(自分の場合)。
話はもどって、
昔描いて 持ち込みや投稿をしたけど 没になった手書き原稿の束を久しぶりに見てみたら
わりと、ちゃんと描いていた。もっと雑で見れたものじゃない原稿かと思っていたけど
予想よりはちゃんとしていた。頑張ってトーン貼りまで終わっているけど(没だったんだよなあ)。
北海道に来るときに大半は処分してきた漫画の手書き原稿。
10年ぶりに忘れていた何本かが見つかって 改めて思ったのは
「やっぱり数をこなさないと、ものにならない」ということ。
無名の漫画描きだった私ですら、16ページの漫画1本仕上げるために100枚以上は書くのだから
名前が出るくらいの漫画描きの人達は生涯どれほどの枚数を書いているのだろう。
そう思うと、あらためて「表現の世界はすがすがしい」という気がしてくる。
結局、実力をつけるためには自分で数をこなすしかない。
その数というのも10単位じゃなくて100単位・1000単位、いやもっとかもしれない。
漫画家のK.T先生は、デビュー前に1000ページの漫画原稿を描きためていたけれど
デビューする時に「過去の作品に引きずられたくないから」という理由で 1000ページの長編原稿を破棄したという。
・・・といった逸話を出しておきながらアレですが
とりあえず、過去の漫画原稿を 全部捨てないでおいてヨカッタなと思う。
自分で思っていたより 過去の自分は数をこなしたんだな、という確認ができただけでも良かった。