「スサノヲの到来ーいのち、いかり、いのり」道立函館美術館 (2015年の日記より)

平成27年。
春の渋谷駅前。

 

「dressのテイクアウト店」でレモンケーキ一切れとサンドイッチ3種を買い込んだ。

さっきまで 喫茶店で向かい合って話をしていた女性の、柔らかい声色を思い出していた。

 

7年前に新聞の広告で見つけた 書籍「女装と日本人」(講談社現代新書)。

 

 

その著者である三橋順子先生と、すぐそこにある喫茶店でお会いして お話をさせていただいた。
バッグの中にはサインを頂いた著書が入っていて、今しがた先生の後ろ姿を見送ったばかり。

全てが夢のように感じられた。

 

「女装と日本人」では、日本の『男子に女名前の幼名をつけ姿形も女児として育てる風習』を「とりかえ育児」として取り上げている。

 

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明治35年。
16歳の折口信夫は、学校の文芸会で

「変生男子(へんじょうなんし)」
・・・「女子の肉体に男子の霊が宿った変性男子」について演説をしたという。

 

 

幼少期、折口信夫は 少年ながらに赤い着物を着せられて育てられた。
「とりかえ育児」である。

「とりかえ育児」で育てられた折口少年は10代半ばにして
どのように「変生男子」(女人が変じて男子となること)を語ったのだろう。

 

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明治33年。
生まれ持った名前を改めて「出口王仁三郎」となった一人の青年がいた。

 

 

彼には、 「スサノオ」が宿った という。

「スサノオ」が宿った 王仁三郎を、
新宗教「大本」では
「男子の肉体に女子の霊が宿った変性女子」、

また開祖・出口なおを
「女子の肉体に男子の霊が宿った変性男子」
と定義した。

 

 

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道立函館美術館で開催されている企画展「スサノヲの到来ーいのち、いかり、いのり」を見て。

 

 

「スサノヲ」という存在をこの展覧会がどのように扱っているのか という点に感動しました。

 

上に記した

三橋順子の著作「女装と日本人」
折口信夫の演説「変生男子」
出口王仁三郎に宿った「スサノオ」

一見繋がりのなさそうな、時代時代のセンテンス

だけど、微妙に重なる要素があるもの。

・・・もしかしたら根底では、あるいは太古の昔には、同じものだったかもしれない もの。

 

 

はっきりと定義しづらいけれども、確実に同じ匂いを放っている
膨大なエネルギーの結晶体や、痕跡たち。

私たちは、みな そんな存在を知っているはずです。

そういったエネルギーの結晶体や痕跡が「スサノヲ」を軸としてピックアップされ
美術館という空間で体感できる。

そんな展示でした。

 

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「スサノヲの到来ーいのち、いかり、いのり」の展覧会の図録、
冒頭に収録されている鎌田東二「スサノヲという爆発ー放浪する翁童神」には、
3.11以後のこの国で
「スサノヲ力」を爆発させる必要性が説かれています。

以前 私は鎌田東二・五木寛之の共著「霊の発見」を読み、

 

その時代時代に合わせて変幻自在に姿を変え 人々の中に息づいてきた
「霊」と呼ばれるエネルギー体の存在、そして
その大きさにおどろきました。

 

提示されれば、記憶のどこかに思い当たるけれど、

ほとんどその存在を認識せずに過ごしているもの・・・

ないようでいて、確実に「ある」もの。

 

 

今回提示された「スサノヲ力」は、私にとって まさにそういった存在でした。

 

 

今回初めて「スサノヲ力」というものを認識し、清々しい気分になりました。

一人でも多くの方に、 「スサノヲ力」 を体感してほしいです。

 

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『スサノヲの到来-いのち、いかり、いのり/北海道立函館美術館』

2015年4月11日 土曜日 ~ 2015年5月24日 日曜日

一 般:920(720)円 /高大生:610(410)円 /小中生:300(200)円

北海道立函館美術館
電話番号: 0138-56-6311

 

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