デッサン練習をする理由→写真摸写ではなく肉眼で見たものを描けるようになるため|鉛筆デッサンのやり方を写真10枚で解説

 

平面を写す「写真模写」と立体・空間を再現する「デッサン訓練」は別です。

 

スマートフォンが普及してからは特に 写真画像をそのまま写した手描きの絵・イラストが

「写真みたい」ともてはやされる風潮も 一般的になりましたね。

ただ、私たち絵描きが「写真を写した絵」を自分の作品として発表することにはリスクがあります。

自分で企画・撮影したオリジナルの写真であれば起こらない問題ですが、

他者が撮影した写真をそのまま写した絵を「自分の絵です」と発表することには 注意するべきです(販売の場合は特に)。

同じように、現在活躍されている芸能人の写真を描いた絵を 自作として発表・販売することも(著作権の問題があるため)本来は出来ません。

(実際には「ファンアート」としてならOKな場合もあります。また、本人や事務所と交渉して制作した作品は別です)。

 

こうした風潮を鑑みても 写真を写さずに 目で見た現実=3次元を 画面=2次元に描ける力をつけることが

長く絵を描く上での強みになってくるのではないでしょうか。

 

 

「写真みたいな絵」という言葉は、リアルタッチの絵への誉め言葉として使われることもありますが

実際の絵画の魅力というのは写真とはまた別の部分に多くあるため 写真を写すだけの力に頼らないほうがいいのでは、と思います。

 

石膏デッサン・鉛筆デッサンは1枚描くごとに上達する|画力をつける近道は基礎練習だと再確認したこと

 

実際に、美術大学などでは 「写真を模写する実技試験」は出ません。

写真模写は、「もとになる写真ありきの描画」になるので

「自力で画面を作っていく実力」を試験としてみることが難しいからです。

 

写真をそのままに描く→平面を平面に写す作業 です。

一方、

実際のものを見て、それを描く→立体・空間を平面で再現(描画)する作業 です。

 

実際にやってみると、

平面を平面に写す作業は独学でも上達することが可能です。

しかし 実際にものを見て、その立体・空間を平面で再現(描画)する作業は、

基本的な考え方やものの見方・基礎の練習方法などを専門家に習うことが上達の早道になります。

美術大学の試験に際しては 実技訓練のために教室や予備校に通うことで

短期間に受験対策をすることが出来ます。

 

 


 

繰り返しデッサン練習を続ける理由。

 

私は先日も、教室の生徒さんと一緒に鉛筆デッサン(実際のものを見て、それを描く→立体・空間を平面で再現する作業)をしました。

鉛筆デッサンの練習は一見 地味ですし、長時間同じ姿勢でひとつのものを描き続けるので

大変という印象があるかもしれません。

実際に 地味で大変ではあるのですが、自分のデッサン力の補強・確認が出来るので

機会を見つけては定期的にやっています。いわば筋トレと同じような自主練習です。

しばらくデッサン練習をしないでいると、ほんとうに描けなくなってしまいます。

私自身はデッサンが得意なわけではないので、定期的に練習をするように気を付けています。

 

デッサン力・コツコツ描くこと。

 

 


 

鉛筆デッサンのやり方を写真10枚で解説。

 

 

①全体を画面に描き入れてみる=ざっくりしたタッチで検討しながら下描きをする。

実際にモチーフをセットしたら

画面の比率をよく見て

画面のどの位置に モチーフのどの部分を描くか検討します。

今回はいきなり画用紙にスケッチをはじめていますが

画用紙に描く前に、クロッキー帳などに軽く 全体を描いて検討するのがオススメです。

  • モチーフのどの部分をしっかり描くか、メインを決める
  • モチーフそれぞれの大きさの関係や前後関係の確認
  • 画面に入りきらない部分を確認する

など、仕上がった画面の設計図みたいなものを頭の中でイメージしながら

おおまかな形をとると この後 描きやすくなります。

 

 

 

②おおまかな形がとれたら 影やアクセントを描きこんでいく。

特に暗いところ、凹みの影や モチーフそのものが濃い色のところは

描き進めるにつれて、鉛筆で濃く塗っていく部分になります。

この段階では、まだしっかり塗らなくても大丈夫ですが

鉛筆を軽く持って、シャカシャカと動かしながら

暗い部分や濃い色の部分がわかるように描きすすめていきます。

このように鉛筆を棒のように持って描くと 細かくなりすぎず自然な陰影が描けます。

 

 

 

③背景・モチーフを描き進めていく。

今回は背景にも色をつけたいので

背景をグレートーンに塗りながら②のようにモチーフのほうも描き進めていきます。

ロウソクに火を灯しているので、

ロウソクの光源がわかるように、火の周りは明るく見えるようタッチを薄くしています。

石膏像の白さ・肩にかけた黒い布・ロウソクの光、

これらに注意しながら 繰り返しモチーフを見て修正しながら描き進めていきます。

 

 

 

④描き込みの段階、自分のクセを認識しながら修正していく。

ここまで進めてくると、デッサン全体に自分の「クセ」が出てきます

私の場合は、部分的な描き込みが増えてしまい あちこちに同じようなグラデーションが増えてくるので

結果的に全体が同じ色調になってしまいました。

なので、画面にメリハリをつけるために

特に暗い部分は思い切って濃い鉛筆で力強く塗りこんでいきます。

また、明るい部分は練り消しゴムなどで しっかり光の明るさを出しました。

ロウソクの光が画面の中で目立つように気を付けながら

固めの鉛筆でメリハリを意識した描き込みを増やしていきます。

どの段階にも言えることですが、とにかくモチーフをよく見ながら描き進めます。

「ここからどう描いたらいいんだろう」と迷ったときにも、実物のモチーフのほうに答えがあるので

画面だけを見て考えるよりは、実物のモチーフを観察して考えつつ 進めていきます。

 

 

 

⑤全体を調整・確認して完成。

一度「完成した!」と鉛筆を置いたあとに

少し時間を置いてから画面を見てみると、さらに必要な作業が見えてきたりします。

今回は、背景の暗さが足りなかった部分と 目元の影の形が違ったので

さらに修正・加筆をして 完成としました。

 

写真を写す描き方の場合は、こうした試行錯誤はあまり必要ありません。

既に平面として 出来上がった構図・形・濃淡をよく見ながら描いていけば

ある程度まで仕上げることが可能です。

 

しかし肉眼で見る3次元を 画面の2次元に描く際には

自分のクセや思い込み、空間把握の感覚、色彩や明暗のとらえ方などを意識しながら

自分の目と手を使って 描いていくことになります。

その訓練として、鉛筆デッサンはぴったりの練習法なのです。

 

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