私にとって「教える」スキルは子ども時代から積み上げた失敗と夢の体験だった

私は2014年に個人の絵画教室をオープンしましたが、
その前にも絵の描き方を教えていたことがあります。

あれは2000年。美術大学に入学すると同時に、それまで通っていた美大受験の予備校に講師として勤めることになりました。
初めての学生生活と、初めての仕事が同時にスタートを切れたこと。本当にありがたかったです。

一番初めに就いた仕事が、この 予備校で講師として絵を教える仕事だったんですが
驚くほどスムーズにできました。この驚きは、今も新鮮に思い出すことができます。

 

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絵は1歳くらいからずっと大好きで描いてきました。
絵が好きなほかのお子さんと同じように、クレヨンと紙さえあれば何時間でも一人遊びができる子どもでした。

物心がつくころには、独学でデッサンや色々な技法に挑戦し、小学校時代は絵画コンクールで毎月何かしら賞を頂いたりしていて
(まめにコンクールに出してくださった先生のおかげです)当たり前のように、絵を描く道へ進みたいと思っていました。

中学校で美大進学を志し、高校三年間はみっちり美大受験予備校に通わせてもらって、武蔵野美術大学に進学をしました。
卒業後は作家活動を開始し、個展・公募展・グループ展・制作依頼や絵画販売・・・それと並行して漫画家になったりイラストレーターになったり。
3年前に絵画教室を開講して、今に至ります。

 

こんな感じで、私はずっと絵に関わってきて今に至るわけですが、
私が「絵を教える」ときって、「自分で絵が描ける」とは全く違うスキルを使っているのです。

「絵を描く」ことと、「絵を教える」ことは別物です。

もちろん自分で描けなければ、教えることは出来ません。

だけど、生徒さんの絵を見てアドバイスをするときに使うスキルは、自分で絵を描くときのスキルではないんです。

画像:https://www.pakutaso.com/

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生徒さんから、こんな質問をよく受けます。

「ここをどうやって描いたらいいですか?」

その描き方を知っていれば、その方法をお伝えする。「ここはこういうふうに描けばいいんですよ」って。
これは、絵が描ける人ならできます。

私の場合は、自分の「失敗体験」をもとに、最低限 以下の内容を考えます。

・なぜその生徒さんがそこでつまづいているのか
・本当にそこの描き方がわかれば上達するのか
・描き方のバリエーションはどれくらいあるか
・色々な描き方がある中から、その生徒さんに合った描き方はどれか
・生徒さんにとっては苦手だけど、ここで身に着けたほうがいいスキルがあるか
・生徒さんがどんな作品を目指していて、自分が教える方法はそこにマッチするかどうか
・生徒さんが今後もその方法を応用できるようにするには、どういう伝え方をするのがベストか

・・・こういったことは、自分も生徒さんと同じところでつまずいた「失敗体験」がなければ見えてきません。
そして、その「失敗体験」と、それを「乗り越えた体験」をセットで記憶していなければ、答えが出ません。

子ども時代から、独学で絵を描く中で積み重ねてきた、たくさんの「失敗体験」。
この「失敗体験」の記憶が、生徒さんに絵を教えるときのスキルと直結しています。
(予備校では、失敗を事前にできるだけ回避し、最短距離でうまくなる方法を習得させてもらったので、失敗体験とは少し違います)。

もちろん失敗しっぱなしでは、教えることは出来ません。失敗を乗り越えなくては。
では、失敗を乗り越えさせるものは何でしょうか?

それはずばり「夢」なんだと思います。

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どんなに些細なことでもいい、「これをやりたい」、と夢を見て、
いきなりうまくはいかないけれど
なんとか自力で乗り越えること。
大小関わらず「失敗体験」を塗り替えさせるもの。それは、「夢」です。

「これをやりたい」っていう「夢」だけです。

誰の中にもあると思います。
あなたがたくさん失敗してきたことは、なんですか?
失敗しても、続けてきていることは、なんでしょうか?

電車の乗り継ぎ。
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私がいちばん失敗して、乗り越えてきたのは、絵だったんだと思います。
だからいま、教えることができるんだと思います。

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「失敗」と「夢」は、ミルクレープの皮とクリームのように折り重なっています。
甘いクリームの次には、焼きあとのついた皮が。そしてまた甘いクリームが。

そうやって積み上げてきた体験こそが、まるごと美味しいお菓子だと思えば
「好きなことを教える」という道が、意外にあっけなく目の前に開けてくるかもしれません。
失敗しても夢みてきたこと。
それは、きっと、他の人に伝えることができます

まだまだ若輩者の私ですが「自分のスキルは失敗のおかげだった」と気付いたことで
すこし、肩の荷がおりました。
自分の根拠がわかって、ホッとしたのでありました。

今日は、ここまでです。また続きを書くかもしれません。

お読みいただき、ありがとうございます。

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